歯周病
歯周治療
“歯周”とは字のとおり歯の周り、すなわち歯肉、歯根膜、歯槽骨そして歯根表面のセメント質を指します。歯そのものではなく歯を支えている組織の事です。昔の歯科治療といえば歯そのもの、あるいは歯のない部分の治療ばかりでした。つまり、保存治療（歯に金属や樹脂を詰める）、補綴治療（金属をかぶせたり入れ歯を作る）そして外科的治療（歯を抜いたり歯肉を切ったりする）が主だったのです。しかし、土台がしっかりしていないのに家を建てても長持ちしないのと同じで、グラグラしている歯やきたない口の中にきれいなセラミックの歯や入れ歯をいれても、短期間で虫歯が出来たり歯が抜けてしまったりして、再治療が必要になります。 具体的な治療の順序は以下のようになります。
- 審査及び診断
- ブラッシング指導
- スケーリング及びデブライトメント
- 再検査
- 再デブライトメントあるいは外科処置
- 再検査
- 補綴あるいはメンテナンス
このようにして歯周治療を行い健康な歯周組織が獲得出来てから補綴治療に入れば、それらが長持ちする事になります。しかし、これで治療が終了したわけではありません。一度失った歯周組織は特別な処置をしない限りは元に戻りません。ですから健康な歯周組織といっても、若い頃の歯周炎のない状態に戻っているわけではありません。一度壊れた組織が健康な状態になっただけですので、それを維持するためにはずっと生涯定期的なチェックが必要となります。
歯周炎は慢性疾患ですので、一度健康な状態に戻ったとしても注意を怠ればまた再発します。急性症状を起こさないようにする事が、歯周組織の大きな破壊を招かないために最も重要な事です。そのためには自分自身での管理も勿論の事、専門家による定期的なチェックとクリーニングが大切です。自分だけでは100％のプラークコントロールは不可能です。その人の歯周病の程度にもよりますが、3～6ケ月でのメンテナンスが歯を長持ちさせるために必要です。
口の中には約400種類の細菌がいるといわれています。これらのうち歯周病の原因となり歯周組織を破壊する悪玉の細菌は約10種類と考えられています。これらの細菌は歯の表面に付着する事にプラークを形成し歯肉炎や歯周炎を引き起こします。歯石はプラークが石灰化し石のように硬く歯に付着したものです。歯周炎の治療はこれらプラークや歯石を取り除き炎症をなくし再び付着しないようにする事です。プラークは自分自身で歯ブラシや補助器具を使って除去出来ますが、歯石は自分で取り除く事は出来ません。
歯石は歯科医や歯科衛生土などの専門家により除去されます。歯周ポケット内の歯石を除去すると、歯肉が退縮し歯が長くなり歯と歯の間が広く開いて見えます。見た目は悪いのですがこれが健康な歯周組織なのです。
このような従来の治療方法とは別に10年程前から歯周組織再生療法が行われ始めています。すなわち、失われた歯槽骨、歯根膜、歯肉を元の状態に戻そうとする治療法でエチレン膜を使ったりエナメルタンパクを用い外科手術を行います。かなり予知性の高い治療法になってきましたが、まだ一般の歯科医が簡単に出来るものではなく、熟練した歯周病医でないと困難です。
このように一度失った組織を元に戻す事は非常に困難ですので、ひどい状態になる前に予防する事が最も重要で簡単な事です。そのためには正しい口腔衛生の知識を得、口腔清掃の技術（歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ等）を身に付け、それを毎日実行する事です。
それ以外に補助的にフッ素を使用したり洗口液を使ったりして、歯質の強化や口腔内細菌の数を減らすように努めます。それと歯科衛生士による定期的なチェックとクリーニングにより、プラークや歯石を除去し健康な歯周組織を出来るだけ長期間維持出来るようにする事が大切です。
こんなときに歯科医でチェックしましょう
もしあなたが全身の健康と同じように口の健康が大切と思うなら、歯周のチェックのために歯周病専門医にいくのはいつでも行ってください。歯周病を特定する唯一の道は、歯周チェックをしてもらうことです。
以下のような歯周病の徴候に気付いている場合
- ブラッシングやフロスをした時に歯肉から容易に出血する
- 赤く腫れて弱い歯肉
- 口臭
- 歯と歯肉の間の膿
- ぐらぐらしたすき間のある歯
- 咬んだ時の歯の変化
妊娠したと思われる時
歯周病を持った妊婦は、未熟児や早産の可能性が7倍も高くなります。加えて半分の女性は“妊娠性歯肉炎”を経験します。しかし、口腔清掃が良く妊娠前に歯肉炎のない人は、このような状態は経験しないでしょう。
家族に歯周病の人がいる
研究では歯周病原菌は唾液を介して感染します。これは、家族間での通常の唾液の接触が、子供やカップルに他の家族の歯周病を結びつけるリスクがある事を意味します。
心臓疾患、糖尿病、呼吸器疾患あるいは骨粗そう症
継続中の研究は、歯周病がこれらの疾患と結びついている事を示している。歯周疾患と結びついた細菌は血液中を移動し、体の他の部位への脅威の体勢を取る。健康な歯肉は健康な肉体につながる。
次のような関心、自覚症状があるのなら
＊あなたの歯が短すぎる、あるいは歯ぐきが笑った時多く見えるあるいは、一本あるいはそれ以上の歯を喪失し、長期間持つ義歯に関心があるのなら
＊現在のブリッジや義歯などの入れ歯に不満でインプラントに関心があるのなら
＊口腔内に2週間以内に良くならないヒリヒリや刺激がある時
初診時 歯周病専門医はあなたの今までの完全な医科、歯科の病歴を尋ねます。これは、歯周病専門医があなたの歯周病のケアーに影響を与える薬を服用しているのか、あるいはなんらかの状態を治療されているのかを知るために極めて重要です。歯周病専門医はあなたの歯肉を調べ、歯肉の退縮があるかどうかチェックし、咬み合わせた時歯がどのようであるか評価し、又ぐらついている歯があるかをチェックします。それから、小さな測定器具を取り出し歯と歯肉の間にそれを挿入し、すき間の深さ（歯周ポケットとして知られている）を決定します。これは、歯周病専門医があなたの歯肉の健康を評価する助けとなります。X線も歯肉の下にある骨の健康を見るのに撮られるでしょう。 どのようにして歯周病を予防出来ますか？歯周病を予防するのに最も良い方法は効果的な毎日のブラッシングとフロス、そして歯周検査や全体のクリーニングを含む定期的な歯科通院をすることです。もしプラークが除去されなければ2日で歯石と呼ばれる硬い物質に変わってしまいます。歯石はとても硬く、専門家のクリーニングでのみ除去出来ます。毎日のクリーニングは歯石の形成を最小限にするのを助けます。しかし完璧には防止出来ません。専門家のクリーニングは、あなたのブラシやフロスが見逃した部位から歯石を除去するため、少なくとも年に2回は必要です。 それ以外にも・・
もしあなたが55才あるいはそれ以上なら：あなたの歯周病が進行する可能性はかなり増加します。55才以上の二人に一人以上は歯周炎を持っています。研究ではこれらの高い割合は、年令以外のリスクファクターに関連するという事です。ですから、歯周炎は加令から避けられない部分ではないという事です。老人をより感受性高くするリスクファクターには、全身の健康状態、減少する免疫力、投薬、抑鬱、記憶力の減退、減少する唾液、機能的損傷そして経済的状態の変化があります。あなたの口の健康を守るためにこれらの事を覚えておいて下さい。
老人の間では減少する唾液は共通の問題です。 幾つもの投薬（抗高血圧薬、利尿剤、抗うっ血薬そして抗抑鬱剤）は全身的不調と共に口喝を引き起こします。口喝はう蝕や歯周炎に対し、より感受性を高くします。あなたの歯周病医に、薬剤治療や処方なしの薬を含め、あなたが服用している薬をすべて言って下さい。あなたの歯周病医はシュガーレスガム、マウスリンスあるいは人工的唾液産生物を含め水分を保ついろんな方法を推める事が出来ます。
多くの老人の歯肉は退縮しています。退縮した歯肉は歯根を露出させ、歯根をう蝕や歯周病に対して傷つきやすくします。生涯歯を保つため、歯周病医は毎日適切なブラシやフロスであなたの歯や歯肉からプラークを除去するように勧めます。少なくとも年2回はあなたのブラシやフロスが見落とした部位から歯石を除去するため専門家のクリーニングが必要です。あなたの歯周病医は露出した根をカバーし、より以上の歯周病の問題を防ぐため治療のオプションを勧めるかもしれません。
閉経期あるいは閉経後の女性は、歯肉の痛みや灼熱感、味覚の変化、退縮した歯肉と口喝など口の中の不快を経験します。ホルモンの減少によるこれらの変化は、歯周病に対する感受性をより高めます。これらの症状を軽減するためエストローゲンの投与は有効です。あなたが気付いた口の変化を歯周病医に言って下さい。年を取るに従って、通常の歯のケアーがより重要である事を覚えておいて下さい。良い予防的な家庭でのケアーと定期的な専門家のクリーニングと歯周の評価があれば、あなたは生涯歯を保てるでしょう。
歯周病と心臓疾患の関係
健康な心臓と歯肉は健康な体を維持するのに極めて重要な役割をはたします。歯周病は細菌感染であるため、歯周病菌は血流に入ること出来、重要な臓器に移動し新しい感染を始めます。心臓疾患（心臓血管病）は6000万人以上のアメリカ人に影響を与えています。アメリカ合衆国における死因のトップです。しかし、多くのタイプの心臓病は予防出来ます。あなたの歯周の健康に気をつける事は、心臓病に対する良く知られたリスクをコントロールするのと同様に予防ヘの重要な一歩です。
歯周病はどのようにして心臓病のリスクを増加させるのでしょう？
・持続的な口臭
・歯磨きでの出血
・赤く、腫れて弱い歯肉
・歯から離れた歯肉
・ゆるんで開いた歯肉
・歯肉と歯の間の膿
・噛み合わせの変化
歯周病はあなたの歯科医や歯周病医により診断、治療する事ができます。歯周病は歯肉や歯を支えている支持組織に影響を与える疾患の予防、診断そして治療について高度なトレーニングを受けた専門医です。
心臓疾患と歯周病の関連を何故知っておくべきですか？
入ること出来、重要な臓器に移動し新しい感染を始めます。心臓疾患（心臓血管病）は6000万人以上のアメリカ人に影響を与えています。アメリカ合衆国における死因のトップです。しかし、多くのタイプの心臓病は予防出来ます。あなたの歯周の健康に気をつける事は、心臓病に対する良く知られたリスクをコントロールするのと同様に予防ヘの重要な一歩です。
歯周病はどのようにして心臓病のリスクを増加するのですか？
歯周病と心臓疾患の関連を説明する幾つかの理論があります。一つの理論は、口腔内細菌が心臓に影響を与えるのはそれらが血流に入り、冠動脈疾患は冠動脈（心臓の血管）の脂質の垢に付着し塊の形成に貢献する時です。冠動脈疾患は冠動脈お血管壁が脂質に富んだタンパク質の蓄積により厚くなることで特徴付けられます。血塊は正常な血流を妨げる可能性があり、心臓が適切に機能するのに必要な栄養や酸素の量を制限します。これが心臓発作につながります。 研究者達は、歯周病のある人はそうでない人に比べ冠動脈疾患をこうむる可能性が2倍程もある事を示しています。
歯の治療の前にどのような用心をすべきですか？
歯周病は他の方法で心臓に影響を与えます。ある種の心臓の状態は人々に感染生の心内膜炎の危険性を与えます。感染性の心内膜炎は心臓と心臓弁の内膜の炎症により特徴付けられます。リュウマチ熱、僧帽弁逸脱症候群あるいは心雑音の既往暦がある患者は、歯科治療に先立って抗生剤が必要な場合があります。あなたの歯周病医や心臓病専門医は、あなたの心臓の状態が歯科治療に先立って抗生剤がひつようなのかどうか決定することが出来ます。 アメリカ心臓病学会は、感染生心膜炎にもっともリスクのある患者を守るために助けとなるガイドラインを明らかにしています。これらの人々は歯科処置の後特に心臓に問題を起こしやすいのです。もしあなたに心内膜炎の危険性があるのなら、歯科医や歯周病医は歯科処置の間にあなたの血流中に細菌が侵入するのを制限するステップを取るでしょう。それらには以下の事項が含まれます。
1： 現在ある歯周病感染の治療
2： 処置に先立つ抗生剤の処方
3： 定期的なメンテナンス以上の来院要請
4： あなたの歯のために適切なホームケアーを見直す事により歯周疾患の予防を助ける事
もしあなたが心臓疾患があるのを知っていたり、最近冠動脈疾患の治療を受けたりしたのなら、よい歯周の健康状態があなたにとって特に重要です。歯周の評価のために歯周病医を訪ねなさい。 歯周病はまた、他の重要な健康上の問題とも関連があります。それらは呼吸器疾患、糖尿病、骨粗そう症そして未熟児低体重早産です。あなたが自分の心臓について気付いているどのような問題も含めて、歯周病医と内科医は、あなたの歯肉と全身の健康を守るために共に働くことが出来ます。前軍医総監のエヴァート・クープが言っています”健康な口腔を持たない人は健康ではない”。
心臓疾患治療薬は私の歯肉にどのような作用を与えますか？
もしあなたが心臓病と診断されているのら、内科医はたくさんの種類の薬を処方しているでしょう。それらの中にはあなたの歯肉の健康に影響を与えたり、歯周病の危険性を与えたりするものがあります。一般的に処方されいくつかの薬は口腔乾燥、プラークの増加と腫れた歯肉を引き起こします。これらの状態はしばしば歯肉縁下での細菌感染となり、歯肉の出血と口臭を引き起こします。 あなたが服用している特効薬を書き出して下さい。これらの薬剤があなたの歯肉の健康に栄養を与えるかどうか、歯周病医と検討して下さい。あなたの歯周病医は内科医と共に負の効果を最小限にするために働きます。
心臓疾患の対するリスクは喫煙、太りすぎそして高いコレステロール値や高血圧を含みます。現在歯周病である事が心臓病のリスクを増加させるであろう事を示唆する証拠が張り出されています。例えば、最近の研究は歯周病を持ったひとは持たない人に比べて、致命的な心臓発作を起こすリスクはほぼ二倍もあることを示しています。
