インプラント

インプラント

インプラント

歯を喪失した後は、根がなくなってしまいますので、その上に冠をかぶせて元の歯の形をつくる事はできません(図1)。両側の歯を支えにして固定式の義歯(ブリッジ)を作ったり(図2)、 取り外しの義歯にするしかありません(図3)。 ところが人工的に歯根を顎の骨のなかに埋め込んで、その上に歯を作ることが出来、自分の歯と同じように使用することができます(図4)。

インプラント

現在広く、世界中で信頼され使用されているインプラントはスウェーデンのP.I.ブローネマルク教授が長い基礎的な研究を経てから、50年程前に初めて患者に適用されたものです。
それまでもインプラントは、幾つかの種類がありましたが、いずれも長期間の使用に耐えるものではなく又、科学的データの裏付けのないものでした。そのため非常に信頼性の低いもので、インプラントのイメージをひどく悪くしたものでした。
ブローネマルク教授の開発したシステムは非常に良く考えられており、マニュアルに沿って実施すれば非常に成功率が高いので、30種類以上あるといわれているアメリカでも最も信頼されているシステムです。
開発当初は下顎の総義歯で苦労している患者さんのために作られたもので、スクリューで義歯を顎の中に埋め込んだチタン製の土台に留めることにより、あたかも自分の歯のように咬む事が出来るようになりました(図7, 8)。

これが成功することが分かってから部分的な欠損部にもつかわれるようになりました。例えば下顎の奥歯がない場合、一般的には取り外しの義歯しか出来ませんが、インプラントを埋入する事により、固定式の義歯が装着できます。
現在では骨の量が少ない部分でも、骨を移植したり、増やしたりする事により、ほぼ希望する部位にインプラントを埋入し、上に固定式の義歯を装着できます。当医院でも1991年からこのシステムを導入しており、多くの患者さんに喜ばれています。ただ、すべての人がこの恩恵を受けれるとは限りません。重大な全身疾患を持つ方、例えば脳血管障害、心臓疾患、高血圧、糖尿病などの程度によっては手術が受けられなかったり、受けられたとしても結果が芳しくなかたりします。ヘビースモーカーやプラークコントロールの悪い人も成功率に大きな影響を与えますので、禁煙したり口腔清掃状態をよくする事が重要です。

インプラントの埋入前後の口腔内写真

インプラントの埋入前後の口腔内写真
インプラントの埋入前後の口腔内写真
インプラントの埋入前後の口腔内写真

またインプラント周囲も自分の歯と同じように清掃を怠れば骨が下がって、咬合力に耐えられなくなり最終的には脱落してしまいます。歯が入ったら終わりではなく、そこからメインテナンスが始まります。

歯のインプラントはどのようなもので私にどのようなことをしてくれますか?

歯のインプラントは代替の歯やブリッジを保持するために、あなたの顎の中に埋め込まれる人工的な歯根です。本来高度な先端技術であり、歯のインプラントは従来のブリッジよりも歯のために良いのです。というのもインプラントは隣の歯に支持を求めないからです。歯のインプラントは見た目も感覚も自然で歯を失った事を忘れてしまう程です。

入れ歯やブリッジに比べてインプラントの長所は?

どのような観点からみても歯のインプラントは、失った歯の問題を解決するより良い方法です。

審美性

歯のインプラントはあなた自身の歯のように見え感じます。インプラントはあなたの歯の組織と結合しているため、ブリッジや入れ歯にしばしばつきものの歯槽骨の喪失や歯肉の退縮を避けます。だれもあなたが代替の歯を装着している事に気付かないでしょう。

歯の保護

歯のインプラントはブリッジのように隣接した歯質を犠牲にする事はありません。というのもインプラントを支えるために隣の歯を変える事がないからです。あなたの歯がより多く無傷のままであれば、より長期間あなたの口の健康にとって有益です。

信頼性

歯のインプラントは快適さと信頼性をもってあなたが再び話しをしたり食べたり出来るようにします。インプラントはしっかり固定されているので入れ歯のやっかいなカチカチした音やぐらぐらから解放してくれます。また、入れ歯を忘れたりやっかいなペーストや接着剤の心配からもさよならさせてくれます。

確実性

歯のインプラントの成功率は高い予知性があります。インプラントは非常にすぐれた歯の代替物と考えられています。

私はインプラントの候補者ですか?

インプラントの候補者は全身的にも口腔内も健康な人です。インプラントを支えるためには顎の中に十分な骨が必要ですし、最も適切な候補者は歯周病のない健康な歯肉を持った人です。歯のインプラントは口腔内の歯肉とその下の骨に直接連結されています。歯周病医はこの領域を特別詳細にあつかう歯科の専門医ですので、あなたのインプラントチームの理想的なメンバーです。歯周病の専門医は他の歯科領域の専門医と仕事をする経験を持っているのみならず、あなたの歯を自分自身のもののように見えたり感じたりするのに必要な知識、訓練そして熟練を持っています。あなたの歯科医と歯周病専門医はあなたの夢が実現するように共同して働きます。

治療はどのようなものですか?

この手順はあなたとあなたの歯科医そして歯周病専門医との共同作業です。歯周病医と歯科医はどこにどのようにしてインプラントをいれるか決定するためにあなたと相談します。あなたの特異な状態や選択されたインプラントにより、歯周病医はあなたの必要に合わせた治療計画を作ります。あなたも歯周病医や歯科医と一緒に治療チームの一員となる事が、治療のゴールに到達するために重要です。

治療後何が期待できますか?

ご存知のようにあなた自身の歯は念入りなホームケアーと定期的な歯科への通院が必要です。インプラントもあなたの歯と似ており同じケアーが必要です。あなたのインプラントを清潔でプラークのない状態に保つためブラッシングとフロスを使います。治療後歯周病医はあなたと歯科医と最良のケアープランを遂行するために密接に働きます。定期的なフォローのための通院があなたのインプラント、歯そして歯肉が健康か確かめるためにスケジュールが作成されます。

従来の入れ歯やブリッジを思い切って飛び越える用意が出来ましたか?

歯周病医を次に訪ねる前に、インプラントについての質問をメモしておいて下さい。医師はあなたの質問に答え個人的な評価を与えてくれます。

すべての歯を入れ替える

もしあなたがすべての歯を失っているのなら、インプラント支持のフルブリッジや総義歯がそれに代わる事が出来ます。歯のインプラントはあなたの失った天然歯や歯根のいくつかを置き換えるでしょう。

インプラント支持のフルブリッジや総義歯が従来の入れ歯に比べどのような利点がありますか?

インプラントは歯を置き換える他の手段に比べ幾つかの有益性があります。天然歯のように見えたり機能したりするのに加え、インプラント支持のフルブリッジや義歯は長期間維持するようにデザインされています。さらにこれらは従来の入れ歯よりも快適で安定しているので、あなたはより自然な咀嚼能力を保持出来ます。加えてインプラント支持のフルブリッジや義歯はあなたの歯根の幾つかを置き換えるために、歯槽骨はより良く維持されます。従来の入れ歯では、以前歯根を取り囲んでいた骨は吸収を始めます。インプラントはあなたの顎骨と結合し骨を健康で損なわれないままにします。インプラントは従来の入れ歯よりも長期間、より審美的に維持しやすいです。従来の入れ歯につきものの骨吸収は顎骨の退縮に移行し、衰えた魅力のない笑顔になります。従来の入れ歯ではある種の食物は食べるのが困難です。

インプラントはどのようにして設置されますか?

まず、スクリューやシリンダーのような形のインプラントがあなたの顎の中に設置されます。そして2~6ケ月後、インプラントと骨はあなたの人工的な歯を固定するためにしっかり結合する事が出来ます。
この間はインプラント部位には仮の義歯を入れることが出来ます。

症例

インプラント支持のフルブリッジ

下顎にスクリュータイプのインプラントを10本埋入し、固定式の義歯を装着しました。
自分の歯と同じように機能し、9年経過しています。

治療前 上顎
治療前 上顎
治療前 下顎
治療前 下顎
アバットメント装着時
アバットメント装着時
アバットメント装着時
アバットメント装着時
ブリッジセット後
ブリッジセット後
ブリッジセット後
ブリッジセット後

インプラント支持の義歯

下顎にスクリュータイプのインプラントを2本埋入し、取り外しの義歯を固定するための、ボールアバットメントを装着しています。 義歯の裏面にはゴムリングやシリンダーを埋め込み、アバットメントに装着します。
義歯の動きがほとんどなくなり良く咬めるようになります。
13年経過していますが、義歯床面の修理だけで快適に使用されています。

治療前
治療前
治療前
治療前
下顎義歯裏面
下顎義歯裏面
下顎義歯
下顎義歯
ボールアタッチメント
ボールアタッチメント
義歯裏面のフィーメール
義歯裏面のフィーメール
治療後
治療後
 
 

数歯を入れ替える場合

もしあなたが数本の歯を失っているのなら、インプラント支持のブリッジが入れ替わる事ができます。歯のインプラントはあなたの失った天然歯にも歯根の幾つかにも置き替わります。

固定式のブリッジや取り外しの入れ歯に対してインプラント支持のブリッジの長所は?

インプラントは歯を置き換える他の手段に比べ幾つかの有益性があります。天然歯のように見えたり機能したりするのに加え、インプラント支持のブリッジは隣接した天然歯の支持なしに歯を置き換えます。数歯の喪失の一般的な治療である固定式のブリッジや可徹式の部分義歯は隣接した歯の支持に依存しています。加えて、インプラント支持のブリッジはあなたの歯根の幾つかを入れ替えるため、歯槽骨はより良く維持されます。固定式のブリッジや可徹式の部分義歯では、以前歯根を取り囲んでいた骨は吸収を始めます(悪化〉。歯のインプラントはあなたの顎骨と結合し骨を健康で無傷に保ちます。違い将来を見越して、インプラントは審美的、機能的そして快適です。ブリッジや可徹式の義歯の周囲では歯肉や骨は退縮する可能性があり、目に見える欠損を残します。 ブリッジや可徹式の義歯下の吸収した骨は衰えた魅力のない笑顔になります。セメントで固定されたブリッジは溶け出し、細菌がブリッジを支える歯を虫歯にします。加えて、可徹式の義歯は口の中を動きある種の食べ物を食べ難くします。

インプラントはどのようにして設置されますか?

まず、スクリューやシリンダーのような形のインプラントがあなたの顎の中に設置されます。そして2~6ケ月後、インプラントと骨はあなたの人工的な歯を固定するためにしっかり結合する事が出来ます。この間はインプラント部位には仮の義歯を入れることが出来ます。しばしばインプラントのカバーを除去し、延長部を取り付けるための第二ステップが必要です。これらの小さい金属の支柱はアバットメントと呼ばれ、インプラント種々の冠を装着出来るようにする色々な接続器具で、あなたの新しい歯を載せるしっかりとした基礎を作ります。あなたの歯肉はこの手順の後2週間程で治癒します。この第二ステップが必要でないシステム(ワンステージ)もいくつかあります。これらのシステムはすでに延長部があるインプラントを使います。歯周病医はあなたにとってどのシステムがベストなのかアドバイスします。設置されたインプラント数によってあなたの新しい歯を固定する接続器具は、インプラントにしっかり締め付ける事が出来ます.あなたは義歯のスナップを着けたりはずしたするバーや丸いボールに挟み込むことが出来ます。最後にフルブリッジや総義歯があなたのために作製され、インプラントや接続器具に着けられます。短期間であなたは笑顔や食べたりしやべったりする能力に、回復した自信を経験するでしょう。

症例

下顎臼歯部

最も頻繁に遭遇するケースですが、取り外しの義歯を作っても使われない場合が多く、インプラントによる固定式の義歯は快適で自分の歯と同じように咬めます。

治療前
治療前
治療前
治療前
右下4,5,6欠損 補綴後
右下4,5,6欠損 補綴後
補綴後
補綴後
 
 

上顎前歯部

審美的に重要な上顎の前歯においてもインプラントは満足出来る結果をもたらします。
14年経過してもそのままの状態で使用しています。

治療前
治療前
左上 1,2,3欠損 治療前
左上 1,2,3欠損 治療前
左上 1,2,3欠損
左上 1,2,3欠損

インプラントの手術時は79歳でしたが、全身的に重大な問題がなければ年齢はインプラント手術の障害にはなりません。
左上前歯部から小臼歯部に3本のインプラントを埋入し、補綴終了後3年経過しています。
現在82歳で快適に食事されています。

治療前
治療前
治療後
治療後

一本の歯を入れ替える場合

もしあなたが一本の歯を失っているのなら、一本のインプラントとクラウンで入れ替える事が出来ます。歯のインプラントは失った歯とその歯根を共に置き換えます。

ブリッジよりも一本のインプラントの利点は何ですか?

インプラントは他の歯を入れ替える方法に比べ幾つかの利点があります。天然の歯のように見えたり機能するのに加え、隣接する歯の健康を犠牲にすることなく一本の歯を入れ替えます。一本の歯を失った場合の他の一般的な治療は歯に支えられた固定式のブリッジですが、セメント合着のブリッジを支えるため隣接歯を削る必要があわず、インプラントはあなたの歯根を入れ替えるため、骨はより良く保存されます。ブリッジでは以前歯を取り囲んでいた骨の幾らかは吸収を始めます。〈悪化)インプラントはあなたの顎骨と接合し骨を健康で無傷に保つのを助けます。長期的には、一本のインプラントはブリッジよりもより審美的で清潔に保ちやすいのです。ブリッジの周りの歯肉は退縮が起こることがあり、金属のベースやカラー部が露出した場合は目に見える欠損となります。ブリッジの下の吸収された骨は魅力のない笑顔に繋がります。そして、ブリッジを所定の位置に維持しているセメントは流出する場合があり、ブリッジを支えている歯を虫歯にする可能性があります。

症例

中間欠損の場合

左上小臼歯・右下大臼歯に1本のみインプラントを埋入しました。
自分の歯を削らずに、独立した固定式の歯が装着され十分機能しています。14年経過しています。

治療前 左上
治療前 左上
治療前 右下
治療前 右下
治療後 左上
治療後 左上
治療後 右下
治療後 右下
 
 

遊離端欠損の場合

第二大臼歯1本のみの欠損ですが、従来の方法ですと延長ブリッジや、1本義歯など快適な補綴方法はありません。ところが、インプラントでは単独で歯を増加出来ますので、快適な状態を獲得出来ます。
左下は13年。右下は4年経過しています。

ネジ留め
ネジ留め
セメント合着…咬合面が綺麗
セメント合着…咬合面が綺麗

先天的に永久歯が無い場合

生まれつき永久歯の数が少ない方の場合、特に若年者に健康な歯を削ってブリッジを作るのは歯の寿命を短くし、一生自分の歯で咬む事は難しくなります。
欠損する部位で多いのは側切歯、犬歯、小臼歯などですが、2本以上欠損すると大きなブリッジになります。このような場合インプラントは特に有利な方法です。
また、歯の位置が不正な場合はインプラントする前に矯正治療で歯をよい位置に動かしてから、手術する必要があります。

《10年経過》

左上3番、4番欠損
左上3番、4番欠損
治療終了後
治療終了後
右上3番、4番欠損
右上3番、4番欠損
治療終了後
治療終了後
 
 

長期間機能している症例

上部構造は破折して、やり直しをしているが、インプラントは相変わらず機能している。

《16年経過》

長期間機能している症例
長期間機能している症例

医院概要・アクセス

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